「アクト・オブ・キリング」を観る。
混んでいた。
1960年代にカンボジアで、
共産党殲滅を旗印にした100万人規模の殺戮が行われた。
その殺害を実行した(現地では英雄の)人物に、
殺害を再現した映像を撮ってくれと依頼し、
その様子を撮ったドキュメンタリー映画。
いろいろなことが少しずつ予想と違った。
互いに無関係な何人もの人がそれぞれに
撮影をしたのかと思っていたが、
一つの映像を数人の仲間たちで撮っていた。
更に再現の映像というものはNHKスペシャルみたいな
忠実に再現したもんだという頭があるから、
ミュージカルのように華やかに演出するのでびっくりした。
若いきれいな女の子をたくさん踊らせて、
更にユーモアが必要とか言って
ふとっちょの相棒にディヴァインのような
えげつない女装をさせて
最後Don't worry,be happyを流して終わる。
かなり寝たというのもあるけれど、
なんだかぴんと来なかったと言うか、
よその国のメンタリティはわからないというか、
最後のえずくところだけが感覚としてかろうじてわかった。
撮影風景と並行して、今の主人公たちの日常が描かれるのも、
民兵の集会とか、商店でみかじめ料を巻き上げるとか、
なんの脈絡もなく(と見えた)次々と出てきて、
平和な現代日本のいちばん平和な部分で暮している私には
それが実際なのかやらせなのか悪のりなのか
判断するのが難しく、
まあ、早い話がついて行けなかった。
義父が民兵に拷問されて殺されて、
誰も手伝ってくれないから
自分と叔父で道ばたに埋葬したという男性が
殺される役を買って出るのだが、
その心情がいちばんわからなかった。
わからないことがわからないまま目の前に放り出された感じ。