5年ぐらい髪を伸ばしっぱなしにしていたのをばっさり切った。
前回切ったのが震災の前年。
そのさらに数年前。新聞に、抗がん剤治療の副作用で髪が抜けてしまった子供のためのかつらを作る活動の記事が載っていた。たしか若い看護師が始めた企画だった。しかし寄付できるのはその団体と提携している美容院だけだという。
記事を読んだのが、自分が生まれて初めて髪の毛を褒められるという経験をした翌日というタイミングで、寄付したい気持ちが盛り上がった。調べてみるとアメリカには以前から同様の企画があり、こちらは個人からでも国籍を問わず受け付けていると知った。恩恵にあずかるのはアメリカ人の子供達に限られるのだが、困っている子供の役に立つことに国籍も人種も関係ない。
使える髪の長さは28センチ以上からという。数年かけてせっせと伸ばし、いつもお世話になっている美容院で経緯を説明して切ってもらった。
そこまではよかったが、海外へ送るという手間の前に怠け心がくじけ、髪の毛は未だに箪笥の引き出しにしまいこんだままになっている。ときどき忘れて引き出しを開けて、自分の髪なのにぎょっとする。
それからかれこれ5年。今度は惰性のまま伸ばした髪が、気がつけばまた胸を越す長さになっていた。
改めて調べてみると、今度は日本国内でも個人からの寄付を受け付ける団体が現れていた。こちらは31センチから。余裕を持って35センチで切ってもらった。5年ぶりのショートボブだ。
今度は速攻で送ってしまおう。


私は子供もいないし、何か活動をしているわけでもないし、仕事も世の中の役に立つことではないし、自分のためにしか生きていない。うっすらとした引け目をいつも感じている一方で、(先週のツアーでも感じたが)団体行動が心から苦手だから何かしらそういう団体の活動に参加するつもりもない。
といった消極的な態度のままでも世の中の役に立てるというのは、自分にとっていいのか悪いのかわからないが、まあありがたいことだと思うのだった。


気になった方は、ジャパンヘアドネーションでググってみてください。