数日ぶりに雨上がる。
夜、BS観てたら「ローマの休日」が始まった。
母が大喜びする。冒頭、ドレスのスカートの下で靴が脱げてしまうシーンをあらかじめ「この先が面白い」と予告。よく覚えてるねと言ったら、「映画館に観に行ったもん」と得意げ。
ずっと面白いしオードリー・ヘップバーンのかわいらしさが天元突破していて謎に泣けてくるぐらい。
脚本も素晴らしいし脇役も素晴らしいし、なんだこれ。
エンドロールまでずっとにこにこしながら観る。
風呂で「こころ」続き。こっちは打って変わって、父親の死に至るまでをじりじりじりじり描く。こんななんかー。天皇、実父、先生、3人の父的なものを失う「私」。
これまでに私の目に入ってくる「こころ」について書いたものはだいたい先生のことを書いていたが、「私」についても掘り下げてほしいような気がした。
しかし漱石は父親とは折り合いが悪かっただろうに、この濃密な描き方ができるのはどういうことか。奥さんの方の父親像なのだろうか。
ともあれ、「私」が東京行きの汽車に衝動的に乗って先生の手紙を読み始めたところで風呂を出る。
にしても、描写のあちこちが新鮮で的確で、すげえなあと感心する。帰省してから先生の家を思い出すときの映像の鮮やかさ(とわびしさ)。近藤聡乃が見事に描きそう。
そしてあまりに的確なので、父を看て見送った時期のことが胸の底からぞろぞろと引きずり出されてきて、これ去年あたり読んでいたらやられていたかもしれない。