アライグマはゆうべも出ず。
コンポストにスコップを入れたら冬場並みに湯気が出た。
昼、サイゼ。通された奥まったゾーンに(少なくとも男のほうの)IQ低そうな若いカップルが2組もいて男の声がやたらでかい。特に奥の壁にこっちを向いて座ってるやつがときどきめちゃくちゃ声を張り上げる。
ここは個室感が出るのか、他の客がでかい声を出していることが多い。いやメインフロアでもでかい声のやつはいるが、こっちは狭いから音がこもっているのかも。
今後このゾーンは拒否したい。
退社後、高円寺の映画館に向けて出る。時間にはだいぶ余裕がある。渋谷で銀行に寄ったら移転していた。ヒカリエを大回りする。タイムロスその1。
昨日検索した記憶のまま井の頭線急行に乗る。ここはちゃんと調べなおしておくかとGoogleMapに聞くと、中央線経由のルートしか出てこない。?????となって、調べて調べて、目的地は高井戸だったと思い出す。念のためにググったら高井戸ですらなく下高井戸だった。明大前に戻る必要がある。永福町で降りた。向かいのホームに電車がいたので、逆方面と疑うこともなく乗った。出発した。さっきまでと同じ方向へ。急行と待ち合わせていた各停だったのだ。永福町をホーム一本の小さい駅だと思い込んでいた。結局高井戸に着いた。タイムロスその2。
渋谷行きの各停に乗って永福町へ。ここでまた急行に乗り換え。明大前に着いた。京王線ホームへ。来た電車に何も考えずに乗った。急行だった。下高井戸には止まらない。桜上水で降りた。タイムロスその3。
そしてのぼりの京王線でようやく下高井戸に降り立つと、開演時間を5分過ぎていた。駅の裏だというおぼろな記憶を元に東口を出る。
走ったら大汗をかいて、席で汗を拭きまくって他の客の迷惑になると考え、なるべく速足で歩く。
ぐるりと駅を回りこむことになった。世田谷線の踏切の向こうにあるはず。登りの電車が行くのを待つ。行ったが遮断機が降りたまま。下りの電車待ち。いつまでも来ない。来るが遅い。さすが世田谷線。タイムロス4。
遮断機が上がった途端に駆けていく人がいた。もしや?と思った通り、劇場に入ると私の前にチケットを買っていた。
結局、10分超過ぐらい。推算40分ほどの時間をドブに捨てたことになる。これはADHDの特性なのだろうか??
一つ一つのことに向き合わず、全部片手でやってる感じなんだろうな。まず一つにちゃんと集中するのだ。時間がもったいないと思っても、念を入れて確認しまくるのだ。
映画はギリギリ始まったばかりで安堵。あとは怒涛の朗読×演奏セッションである。飲み込まれた。古川日出男が現代語訳を朗読した後、坂田明が原文を唸る。その声がよかった。進むにつれてシンクロしたりもする。向井秀徳は全然別の文言を歌うが、絶妙に響きあう。
終演後トークがあると行っていたので、待っていたら2本目が始まった。2本立てだったのだ。青柳いづみ嬢が出てきた。間の取り方が天才。
しかしちょっとノイズ多めでインスト部分が長いので睡魔がすぐ襲う。
途中、後部の入り口の付近でスマホをつけたにしては妙に明るすぎるライトがしばらく閃いていた。クライマックスっぽいタイミングで今度は眩い照明が盛大に場内を駆け巡り、最後光の玉のようになって画面にとどまるという演出があった。映画はそのあとも続いた。
ダンサーは私の好みとは違ったが、客席の闇に白いフレアパンツが消えていく動きはよかった。トークでの監督によると、踊りによって異界を現出させることができるらしい(言葉はたぶん全然違ったが、そんな感じだった)。
トークは登壇のタイミングがちょっとかみ合わない感じでまばらな拍手の中始まったが、監督の天然ぶり(大量に話し突如満足して終了する、または全然説明しない、など)と、一緒に登壇したミュージシャンの細井徳太郎氏のトーク初とは思えない的確な突込みで非常に楽しく聞けた。だいぶ笑った。
総じて2000円は安かった。
行ってよかった。
作品はどちらも「平家物語」を朗読することが核となっているのだが、どちらも安徳天皇の入水のくだりを朗読する。死後語られる身の上になったことで、こうやって後世に何度でも何度でも海に落ちて亡くなるのだな、幼い天皇が。たった8歳で。と思うとなんだか悲しくなってくる。
「諸行無常セッション」で古川日出男氏は自著の厚み5㎝はありそうな現代語訳平家物語に付箋をたくさん貼って、読み終わってはマイクスタンドに貼り替えていた。
意外と難しいことだよなそれは。情動であるところの朗読と、無の作業であるところの付箋貼りの間に横たわるなんらかの断絶について。
芸術と作業と。切り替えと。
芸術家は家人に生活にまつわることを担ってもらって制作に没頭していいのか。
歌舞伎は黒子が全部やってくれるが。