夜のうちに雪が降って、起きたころには消えていた。
雪が降っても花粉。ついに本格化した。
つらい。
桐野夏生「抱く女」。
小説というよりは手記っぽい(しかしフィクション)。
1972年の女子大生の会話は
こんなふうだったのかと新鮮に読んだ。
元カノ現カノ対決が私的にはこの本の
クライマックスなのだけれども、
見合って見合っていきなり戦闘が始まるところ、
この時代の人はすぐ戦えるように
心構えができてたんかなあと思う。
いっそほれぼれする言葉の応酬。
宮脇泉いい女。
そして主人公も主人公の家族も、
くくるべきときには意外と腹がくくれていて、
取り乱したりぐずぐずしたりしない。
その辺はさすが桐野夏生作品の人びとという感じ。
主人公の名は直子。酒屋の娘。
高校からの友人と同じだ。
彼女はこんなにあちこち
さまよったりはしなかったけれど。
なっこ元気か。
橋口幸子「珈琲とエクレアと詩人」。
薄くて文字が少ないので、
寝しなに読み始めたら読み終わってしまった。
詩人北村太郎の思い出を親交のあった校正者が綴った本。
橋口夫妻は詩人田村隆一の家に
間借りすることになった。
時を一にして詩人の親友北村太郎も引っ越してきた。
しかし主人である田村隆一はこのとき、
若い女と暮らすために家を出ている。
家には、家の持ち主である田村隆一夫人が
ひとり残っていた。
つうか北村太郎も、田村隆一夫人と暮らすために
妻子を置いてこの家に来たのだ。
北村太郎を語る温かさと対照的に、
「大家」としか表現されない夫人の
扱いの冷ややかさが引っかかった。
著者は北村太郎を好きだったのではなかろうか。
などとゴシップ脳が活性化する。
語り口の淡々として美しいのとは対照的に、
底にどろっとしたものがありそうで怖い。
夫人との日々を描いた「いちべついらい」という本も
同じ港の人から出版している。
写真を武田花さんが撮っている。
こっちも読んでみようと思う。
田村邸のある稲村ケ崎は母の実家がある駅で、
親近感を感じて手に取った。