スカーとしている、晴れ

ウールとはいえジャンパーでは、
パシュミナのストールを巻いてももはや寒い。



夜、祖母の記憶をざらざらとさらう。
旅行が好きで、いつもお土産を買って来てくれた。
いつか、弟が小学校中学年、私が高学年ぐらいのとき。
ガラス細工の鳥の置物を、
弟には小さいピンク、私には大きい透明、のをくれた。
弟は自分は男の子だから当然透明と思いこんでいたら、
ピンクをあてがわれて、それはそれは激怒した。
男の沽券に関わったのだろうか、抵抗は強硬だった。
なんだかんだで、今は私が両方持っている。
そういえば私が中3のとき。
修学旅行がディズニーランドだった。
私は弟にはペナント、自分には大きいぺろぺろキャンディーを買って帰った。
弟はぺろぺろキャンディーをすっかり自分のものだと思って、
普段いがみあっているのに殊勝な声で「ありがとう」とまで言って
ぺろぺろキャンディーを手に取ったが、
私は「お前のはそれじゃない」とすばやく無情に取り上げた。
ちょうど弟の友達が遊びに来ていて、その目の前でそれをやった。
それこそ男の沽券を丸つぶれにした。
ときどき思い出しては非常に申し訳ない気持ちになるけれど、
弟の中ではそんなこたぁとっくに処理済みであるかも知れず、
だいたい引きずっていたところでどうやってつぐなうのだろうか、
巨大ぺろぺろキャンディーを買って与えるとか?
それよりも赦しがたい所行の数々をなぜケロリと忘れているのだ!と
怒りに震えるかもしれない。
そういえば、もっと幼くて弟がまだ赤ん坊だった頃、
伯母さんが姉と私にサンリオかなにかのグッズをくれた。
同じキャラクターの、姉には豪華セット、私にはちょっとしたセット。
私はまんまと豪華セットを自分のものだと思い込み、
優しいおばさんがその誤解を解こうとしておろおろとしていた様子は、
割と鮮明に覚えている。
下の子とは。