蒸っし、雨のち晴れ

ロズニツァ「キエフ裁判」。

前半は陳述であり、被告たちのドイツ語をウクライナ語に通訳しながら進行する。ドイツ語には字幕がつかない。感情を昂らせるシーンはない。となると意味のわからない話を淡々と語る場面が何度もあるのであって、非常に眠い。

後半で目撃者や生存者の陳述が始まると一気に緊迫感が増す。

でもやは激するような人はいない。法廷にぎっしり詰めかけた人たちも大人しく聞いている。

検察側の絞首刑の要求と判決の言い渡しのときに拍手が沸き起こった。

場面が変わるたびに被告たちが服装含めてくたびれていく。

公開処刑のシーンもがっつり映す。おい目を逸らすなと言われているかのようだ。

それを見物しに押し寄せた群衆も映す。殺された人数と同じぐらいいそうな大量の群衆。この中に被害者や被害者の身内ではない、ただの物見高い人々が相当の人数はいただろうなと思う。

画面にはひしめき合って圧死しそうな群衆が映っていたが、客は私ともう一人しかいなかった。

日本人として「東京裁判」を見ないでこっちだけ見るのもいかがなものかと思った。

 

部屋に帰り、「いきている山」を最後まで読む。山への態度のマイルストーン

絶望図書館所収のアイリッシュ「瞳の奥の殺人」も読んだ。