凡庸に寒い、晴れ

「猫には嫌なところがまったくない」一気読み。
著者はひとりと猫二匹暮らしなのだが、本の3分の2ぐらいのところでその猫が相次いで死ぬ。そのあとはずっと、猫がいないことを嘆く日々で痛ましい。
悲しみのどん底にいる著者を近所に住んでいる男子が次々と訪れて慰める。人気あるなー、著者に気がある人々かなー、まあこれだけ魅力的な人だしなーと思っていたら、最後の章で忽然と結婚していた。そのうちの誰かかどうかはわからない。
しかし仲間仲間―と思って読んできたので、「ブルータス、おまえもか」感がぬぐえない。勝手だが、仕方ない。
そういう日に限ってたろう荒ぶる。いつものようにおだやかに対処できない。
私がトイレに行っている間に泣きわめいているたろうを見捨てて寝に行ってしまった父や、自分がやればいいことをこちらにやらせようとする姉に苛立つがそれに対して文句をつけられない自分への苛立ちもあり、まったく山田さんとはずいぶん違う。