山田風太郎「戦中派虫けら日記」が面白い面白い。
描写がもはや小説のようだ。
21歳でこんなの書くのかー。
しかも作家になる将来はこのとき考えてない。
昼、住宅街を通り抜けて会社の隣町の商店街へ昼食を食べに行く。
帰りに急に自分のスニーカーの足音が大きく聞こえた。
風もやわらかで、あまりにも音のない昼。
はっとして耳を澄ますと、子供の嬌声が遠くから。
セスナ機の飛ぶ音も。
道の向こうで立ち止まってスマホを構えてそれを撮るサラリーマン青年。
夜、たろう獣医。
エコーで見てもらう。
心臓に虫の姿は見えない(が、毛が密すぎて詳しくは見えない)。
心臓の薬のおかげで調子はだいぶよくなった。
体重もやや減った。
この調子で。
しかし調子がいいのは心臓の薬を飲んでいるからで、
虫がいなくなって薬を飲まなくなってから初めて
ダメージを受けた心臓の症状があらわになるので、
そのときどうなるか。
口をときどきワギワギするのは、
頬の肉を噛みこんでしまっているのと歯石のせいらしい。
痩せたら頬肉の噛み込みは解決するらしい。
何かとあるねえ。
帰ると、留守番していた健康そのもののすずが
しきりにたろうのにおいをかぐ。