すこーーーし寒い、晴れ

まど・みちおの墓参りの詩を「いろはにほ」と覚えていたが「ドレミファソラシド」だった。というか草野心平かも。

 

 

夜、新宿へ。その前にクラフトビール屋へ。先客二人。一人帰ってすぐまた一人来る。繁盛している模様。

松本ブルワリーのNOTHING SPECIAL。うま。

次は梅のビールを飲んでみたい。

武蔵野館で「父は覚えている」。Hさんによると全然客が入っていないらしい。

今日は石川直樹さんのアフタートークがあるのでよく入っていた。

 

道路とは大きな川に隔てられた、きれいな水の流れる村の暮らし。知ってるような知らないような遠いような遠くないような。感情はわかる。
いい犬(当社基準)が出ていた。
パンが美味そうだった。人が来たらとりあえずパンを勧めるっぽい。
選挙についてすごい勢いで政治家に噛みついてる人の声がラジオで流れるシーンがあって、内容がうちの国かな?って感じだった。実業家と銀行屋の戦いで庶民は蚊帳の外じゃないか、みたいな。

作品の感想を探そうとTwitterで検索をかけたら知らん人たちの思い出語りが山ほど出てきた。読んでしまう。人は思い出と生きてる。
石川直樹さんは写真は記憶のトリガーとなる(そこはやはり写真家ならでは)みたいな話とか、ご家族の記憶の話、自分が老いたときの記憶の話、などをしていた。機嫌が悪いのか?と思ったが、日比谷の図書文化館の展示の設営後で寝ていないとのことで、グロッキーだった模様。

写真撮ってよくて、撮ったんだけど、お通夜みたいな顔が撮れた。

Hさんに会えた。お茶でもってことでベルクでちょっと喋る。ロングトレイルのこととか。

 

 

内容について(ネタバレあり)。

名前が既に全然知らない文化。父ザルーク。母ウムスナイ。孫娘スルガ。母の再婚相手ジャイチ。あと忘れた。

28年間行方不明だった父が事故の後遺症で記憶喪失&無表情&無反応&緘黙となって戻ってくるという話。父はなぜか村じゅうのゴミ(みんなそのへんに適当に捨ててるらしい)を拾い集める。息子を始めとした家族はそんな父に振り回される。のだけど、その無表情と無言の下には渦巻く感情と伝えたい言葉が閉じ込められていたのかもしれない。と考えたのを自閉症の中学生の作文を読んで思い出した。
「ジョニーは戦場に行った」とか。植物は実は悲鳴を上げているとか。そういう。

列車の踏切の前で車を止めるシーンが2回あり、何か意味があるのかなと思う。

来るときに川にかかった吊り橋を歩いて渡って村に入る。あとになって、そこを渡って外に行く宣教師たちについて歩いていく父を寸前で引き戻させる息子。

木立の間でデートをしていたような頃の両親のモノクロの写真を息子が父に見せるけど、無反応。ちょっとあとで、それの上着に色を塗る孫娘。記憶が戻って「これは色が違う」と言うための伏線かなあと思ってたけど、それはなかった。

吊り橋すれすれにどうどうと流れる濁った大きな川、むき出しの線路、火事。あやういものだらけで悲劇が起こりそうではらはらするが起きない。

母の再婚相手が離婚を告げられて逆上して、母を押し倒して服を破くというなんかある意味懐かしいシーンがあって、「これは必要だったか…?」と思う。何か手癖のように、あって当たり前だから入れたかのように、挿入されるシーンというものがあるのではというか。昔の日本の映画にもお色気シーンが無理矢理挟まっていたように。でもそのすぐあとにブルカを着ない母が服装の乱れも心の乱れも特にない様子で道を歩いていた。

「おばさん」と呼ばれている人は父に横恋慕していたのでは?と冒頭のシーンで思ったので、最後の宴会で母が急に現れて隣に座ってから二人がずっとアップで映されていて、その間のおばさんの表情の変化にくぎ付けになってしまった。