寒い寄り、晴れ


坂のてっぺんにはだいたい金持ちが住んでいる。
昼休みの帰りにその金持ちストリートを自転車でだらだら走っていた、向かいから歩いてきた2歳ぐらいの女の子とお母さんが、四角い新しいモダンでかっこいい家の外階段に足をかけた。こういう家に住むとはすごいことだなあと思いつつ接近。何段か上がったところで子供側につまづいたような動きがあり、お母さんが「気を付けてよほんとにあんたはもう〜」と苛立った声を子どもに投げつけた。CMに出てくるような幸せのかたちを思い描いていたので、プリンのつもりで食べたら茶碗蒸しでした、みたいな気持ちになった。
一方子供は何か関係ないことについて話し出しそうな調子で「ママ〜」と言った。
なんとなく、私を意識してお母さんはその声を出したような気がしている、なんでそういう気がするのかはよくわからない。